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演技・ボイトレ:実感の沸く稽古へのこだわり
◆演技稽古(レッスン)への考え
演技稽古といえば
一名の指導者と数十名の練習生で課題の台本を一人ずつ発表し
そのフィードバックを受ける学校のような授業形式が一般的です。
ただ、経験のある方ならお分かりだと思いますが
このレッスン形式では、一人当たりの練習時間が極端に少ないんです。
レッスンに数万円〜数十万円も払ったのにほとんど待機時間で終わってしまった・・・
珍しくないあるある話です。
レッスン形式もですが、私が本当に不満を感じるポイントはそのレッスン内容にあります。
いくつかの作品から抜粋されたセリフ台本を受け取り目を通す
自分の番になって発表してダメ出しを受ける。
これを稽古というのでしょうか?
私はこうしたレッスンを受ける度に
【これは稽古ではなく演出だ】
と強く感じました。
□抑揚をつけて □気持ちを込めて
□伝わってこない □自然な芝居
・・・etc.
指導者の好みに左右される抽象的なアドバイス風の感想を聞き続けても
結局どうすればいいのか理解が難しく上達を実感することがありません。
稽古に必要なのは、感想ではなく助言です。
私の考える演技稽古を積むということは
□抑揚の付け方 □気持ちの込め方
□伝え方 □自然な芝居とは
について、自分で理解して考えて演技していけるようになることだと考えています。
◆演技稽古の目的
役者は観客・視聴者に作品を演じることが仕事です。
その時に最も大切なことは、役者が自然に演技できていることでも
セリフの抑揚でも、役になりきれていることでもありません。
作品を観ているお客様にとって重要なのは
【”そう観えている(聴こえている)”かどうか】
本番で役者の都合は関係ありません。
入念に役を作ろうと、セリフを練習していようと
お客様に理解されなければ意味がありません。
悲しそう、悔しそう、嬉しそう
立場が偉そう、弱そう、怖そう
綺麗、汚い、冷静、熱血・・・etc.
お客様はこうした情報を役者の身振りや表情、セリフから雰囲気を感じ取り、作品における人の関係性や流れを理解しながら感情移入していきます。
難しい理屈や理論は抜きにして
ここでは、シンプルに自分の演技表現が”そう観えるかどうか”を稽古の一番の目的にしております。
◆演技稽古とボイストレーニングの融合
一般的なボイストレーニングは、イメージで行うトレーニングという認識が強く出ており
・「お腹から声を出す」
・「腹式で声が大きくなる」
・「肩式呼吸の使い分け」
・・・etc.
学校や養成施設のボイトレとして一般的に使用される「アメンボ赤いなアイウエオ」や「外郎売」、「ロングトーン&ブレス」もそうですが、全く根拠のない滑舌・発声法を指導される機会が多いように感じます。
しかし、研究論文や活用理論は日々更新されており、中でもボイトレ業界は、沢山のボーカリストが試行錯誤し時間をかけて構築した発声理論が現在では耳鼻咽喉科医の力も加わり、エビデンスのある優秀なカリキュラムとして誰でも受講できる時代になっています。
そんな誰でも学ぶことができる現在で私自身苦労したのは、世の中にあるボイトレ教室のほとんどが、歌唱指導を中心とするボーカリストメインであるという事実でした。
歌唱ではなく演技の専門家のボイストレーナーとはなかなか巡り会えないほど需要が薄かったのです。
役者を志す皆様がボイトレに通う目的はなんでしょうか?
歌唱では、
・「高音を綺麗に出したい」
・「シャウトしたい」
・「ビブラート」
・「歌唱中の声枯れの改善」
・・・etc.
こうした、歌を上手く歌う(聴かせる)ためのテクニックやスキルの習得が通う目的だと思います。
では、演技ではどうでしょうか?
演技を上手く観せる(聴かせる)ためのボイトレとはなんでしょうか?
漠然とした発声滑舌への理想はあれど、月々高額な料金を払ってでも叶えたい理想ではない気がします。
ただ、夢を追いかけていると「少しでも他人と差をつけたい」「少しでもレベルアップしたい」という気持ちから受講されている方も多いと思いますが、上達につながる実感は薄いのではないでしょうか。
確実に役者もボイトレは必要なのに学校や養成機関では詳しく活用されず、外部で通っても上達の実感が持てないのには、噛み合いの悪さが原因だと考えています。
役者は、極端な話”沢山の人物”を演じる可能性があります。
その上、作品によっては数時間演じる場合もあります。
ここまでなら演じる役柄に合わせたボイトレや、声の枯れない発声の習得など通う理由はありますが、話を複雑にしているポイントは
劇中で時が経過する
ということにあると思います。
劇中の時間経過は、ただ時間が経つだけではなく、起承転結によってかなり人物の感情状況に影響があるため、一体どんなトレーニングを積めば良いのか決められないほどの情報量になってしまいます。
それを、演技を勉強中の練習生が分析して必要なトレーニングを自覚できるでしょうか。
それでも何かを変えたいと思い通った先のボーカリスト専門教室はトレーニングの提案ができるのでしょうか。
演技の中で改善点や向上箇所を明確にすることで、役者に活かせる噛み合った発声滑舌トレーニングを行うことができると考えています。
稽古中演じることで見つかった課題を改善することで、確実に変化を実感いただけると思います。
特に改善の必要がないほど発声発音できているところは手をつけず、本当に必要な箇所だけをトレーニングする方が効率的だと思いませんか?
ここでは、ただ発声滑舌トレーニングを行うのでなはく、演技中に判明した改善必要箇所をご本人様に自覚いただいた上でボイストレーニングを行うことが可能です。
◆最後に
「10,000時間演技出来ればプロになれる」
某有名声優が役者を目指す者たちに向けた言葉です。
舞台や映画やアニメにナレーションなど、第一線で仕事をするプロフェッショナルは毎日膨大な時間を専業の中で過ごします。
その中で、現場経験も少なく自主練習の多い練習生や研究生は這い上がっていかなければなりません。
10,000時間の稽古を遥かに超えた経験を続けている現役プロと肩を並べて仕事をしていくには、より専門に特化した実践に近い稽古が1秒でも多く必要だと考えております。
役者の将来を歩もうとしている方、預かり・新所属でさらなる向上を求めている方からのご相談いつでもお待ちしております。
【アドバイザー】
山本 輝海 YAMAMOTO TERUMI 男性
♪ 音声劇団TERUMIproject 主催
♪ TERUMIproject稽古場
・オーナーアクトアドバイザー
・ボイストレーナー